もし、もう一度やり直せたら①

もし、もう一度やり直せたら…

そんな風に考えたことはありませんか?


『ある女子大生の話』

「もし、もう一度やり直せたら、絶対にあんなこと言わなかった。」

誰もいない公園で、一人ブランコを揺らしながら市原夏希は溜め息をついた。

3年付き合っていた岩瀬遼と別れたのは昨日のことだった。いや、別れたというより拒絶されたと言った方が合っている気がする。


そもそもの原因は夏希だった。

大学3年生の夏を前に、夏希の所属するテニスサークルは今まで以上の盛り上がりをみせていた。

他サークルとの引退合戦に向けて、連日朝からテニス漬けだった。夕方には、練習メンバーで飲み会があり、時には酔い潰れてメンバーの家で目が覚めた。

それが遼には気に食わなかったらしい。

「サークルに文句を言うつもりはなかった。でも、最近泊まり過ぎじゃね?」

終電で、やっと最寄りの駅に着いた時、遼から電話がかかってきた。今日は帰るとLINEしておいたから、たぶん夜道を心配して電話してくれたのだろう。

「遼ちゃん、電話、かけてくれたの?優しいねぇ!」

お酒が抜けていなくて頭がフワフワする。

「夏希、酔いすぎ。」
「全然酔ってないよぉ。」
「飲み過ぎでしょ。いつもそんなに飲んでるわけ?」
「今日は、そんなに、飲んでない!」
「あっそ。」

あれ、なんだか遼が怒ってるみたい。

「え、なに。遼、怒ってるの?」
「別に。」
「なんで?飲み過ぎたから?」
「別に怒ってないから。」
「怒ってるじゃん。飲み会のせい?」
「飲み会のせいっていうかさ…夏希、最近そればっかじゃん。」

なによ、せっかく楽しい気分で帰って来たのに。
今、お説教なんてされたくない。

「遼は私が飲み会に行くのが嫌なの?飲み会ばっかりっていうけど、どこもそうだよ。遼はサークル入ってないから分かんないかもしれないけど。」

遼は黙ったままだ。

「正直、飲み会の度に文句言われたら、私だって嫌な気分だよ。一人の時間をどう使ったってお互いの自由でしょ?それなのに、遼は私を束縛しようとする。」

お酒が回ってたから。
頭がフワフワしてたから。
遼が何も答えなかったから。

言い訳ならいくらでも浮かぶ。
気が付いたときには、
「遼のそういうとこ、うんざりするんだけど。」
思ってもない言葉が出ていた。


つづく